佐野司法書士事務所

中日新聞によりますと、法務省が成年後見制度の改正に向けた検討を始めたとのことです。より利用しやすい制度にし、利用促進を図りたい国の考えが窺えます。確かに当事務所に来られる相談者の中には成年後見制度に後ろ向きな考えの方が少なくありません。後見制度を利用したら負担が増える、誰が成年後見人になるか分からない、専門職が後見人になったら費用がかかる等々マイナスなイメージが先行しているように思えます。成年後見制度は、判断能力が減退した人の権利保護のためには有用な制度だと言えます。例えば、一人暮らしの判断能力が衰えてきた高齢者を悪徳な訪問販売等の被害から守ることが可能になったりもします。そういったメリットがあるにもかかわらず成年後見制度の利用が促進されないのは、制度設計に少なからず問題があるのだと感じます。改正案の一つに、必要な時だけ利用できるとの内容もあるようです。しかし、このような改正は被後見人本人の利益というよりも、その周りの家族からの要望からきているものだと思います。利用しやすい制度にすることには大いに賛成ですが、被後見人の権利保護という制度の基本的考えから逸脱するような改正にならないよう検討する必要があります。